最相葉月『星新一 一〇〇一話をつくった人』(新潮社)

星新一 一〇〇一話をつくった人

 やっと読了。各地で絶賛されていて、賞もいくつもとっている作品なので、期待して読んだんですが、期待通りすごい本だった。星新一(親一)の産まれる前から書き起こし、遺品及び関係者への取材に基づいた記述を通して、星新一という人物が鮮やかに描き出されている。ある人物の思いなんて、本人にしか分からないものなので、本当にそうだったかは厳密に言えば分からないんですが、その語りえないものを関係者の証言や、断片的な日記から浮かび上がらせる様は圧巻。ぶ厚い本ですが、一読の価値は十分すぎるほどあります。